ヴェルディ:椿姫カラス(マリア)
東芝EMI
発売日 2002-09-11
1958年3月27日、マリア・カラス絶頂期の貴重なライヴ録音。音自体はジュリーニ指揮によるスカラ座ライヴ(55年)より鮮明だが、プロンプターの声だろうか、ときどき人の話し声のノイズが入るのは気になる。しかし、カラスの伝説的なヴィオレッタの微妙なニュアンス、とりわけ魂をこめたピアニシモの集中力は本ディスクの方が良好に聴き取れる。その点は最大の魅力である。
ジュリーニ盤とのいちばんの違いは、アルフレート役に若きクラウスが凛々しくノーブルな声を聴かせていること。ディ・ステファノの血の気の多いアルフレートとは正反対の優男ぶりはなかなか良く、カラスの歌にも微妙な変化を与えている。一途に命がけで突っ走る印象だったジュリーニ盤と比べると、弱音の表現は熟成している。
また、冒頭から熱に浮かされたようだったジュリーニの指揮ぶりと比べると、本ディスクのギオーネの指揮は、悲劇の展開に応じて徐々に熱を帯びてくる。セレーニのジェルモンも非常に立派な風格があり、バスティアニーニに匹敵している。ファンには聴き逃せないディスクと言えるだろう(林田直樹)
マリア・カラスの椿姫 2002-09-25
マリア・カラスは、中高年の方にはよく知られた名前だと思う。イタリアオペラをほとんど聴かなかった私ですら、よく耳にしたソプラノの名前である。ヴェルディのオペラを友人に勧められたのは、すでに20年以上も昔で、とうとう買った初めてのイタリアオペラがこの椿姫である。いわゆる縁というものだと思う。録音は1955年でセピア色だが、まさに”熱気のある”演奏。大ヒットの末、スカラ座では、この椿姫が数十年封印されたそうだ。CDが届いてからこの三日間、このオペラ音痴の私が毎夜聴いている事実が、この音楽の魅力を物語っている。
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