ヴェルディ:歌劇「アイーダ」全曲カラス(マリア)
東芝EMI
発売日 2002-07-26
「アイーダ」の巨大なドラマと悲劇を愛する人なら、一度は聴くべき強烈な名演だ。このディスクの凄いところは、カラスが歌うアイーダの命がけの愛と苦悩ばかりでなく、リチャード・タッカー歌うラダメスの素晴らしい声の張りと艶、バルビエリの緊迫感あふれるアムネリス、ゴッビの威厳と迫力満点のアモナズロなど、万全なキャストが、セラフィン指揮の緻密かつ深遠なスケールのオーケストラのもと、迫真のドラマを総合的に作り上げている点である。まさにスカラ座黄金期の底力をまざまざと思い知られる。
これは、音の条件の悪い一連のカラス関係のライヴと違い、名プロデューサーのヴァルター・レッグが手がけた正式なセッション録音である。セッションは観客がいないため、どうしても演奏に熱気が欠けるきらいがあるが、この「アイーダ」にはその熱気も十分にある。しかも、ART(アビーロード・テクノロジー)の威力だろう、音質は大変みずみずしく聴きやすくなった。あの名歌手たちの繊細な声のニュアンスが、これほどリアルに聴き取れるとは…。ここからは、匂い立つような高貴な雰囲気が感じ取れる。カラヤン盤やムーティ盤、それぞれの素晴らしさを知る人にとっても、このセラフィン盤の稀(まれ)なる品格は、抗し難い魅力を放つだろう。
カラスというと、すぐにアイーダを連想する人は少ない。ヴィオレッタ、トスカ、ルチア、ノルマこそがカラスの代表的な役柄と思われているし、それは確かに正しい。しかし、このアイーダの命がけの絶唱は、他のすべてのアイーダにも増して、痛切な何物かがある。聴き慣れた人でも、このカラスの引き裂かれるような愛と苦悩をにじませた声には、不覚の涙を禁じえないに違いない…本当にものすごいアイーダだ。(林田直樹)
歌劇 アイーダ 2003-07-25
流れるような、曲、豊かな旋律、そして、心を揺さぶる行進曲
この、曲を聴くたびに、いつも癒されます。
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