マリア・カラスユルゲン ケスティング
アルファベータ 刊
発売日 2003-08
声でたどるカラス 2005-11-01
バイオグラフィーでは、カラスのキャリアが、著者が耳で掘り下げた公演での歌唱にそって、描かれている。中には日本では入手の難しいものもあるが、現在ライブのCDとして我々が聴くことのできるものが中心である。複数の録音の残されているオペラに関しては、年代ごとの比較がされており、著者自身は、カラスの声の全盛期をかなり早い時期に置いているようで、私は個人的にはもっと後の時期の声のファンなのだが、その点に関しても様々な意見のレヴューが紹介されており、興味深い。つまりこの本は、カラスのCDを、1つのオペラを2種類以上聞き込んでいるような人、カラスのスキャンダルや私生活には関心がないが、あの声に惚れ込んでいる、と言うような人にお勧め。また初心者にとっては、無駄なお金を使わずによりよいCDと出会うための良書だと思う。ただ読み物としては、引用されているレヴューや対談が、英語(またはイタリア語)から日本語ではなく、英語からドイツ語、ドイツ語から日本語、と言うように二段階に訳されたものと思われ、もとの意味が歪められた伝言ゲーム状態の文が目立った。
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